目次
旅二日目。
23時や2時に一度目が覚めてしまったものの、もう一度就寝。
というわけにはいかず、2時の後寝付けなったため、仕方なくそのまま起きている事に。
二日目は8時半に高崎出発の予定だったので、そのままではかなり時間が余ってしまう事になります。そのため、せっかく早起きしたんだから始発からの時間帯を使えないかと調べてみた結果、高崎から少しだけ伸びてる路線(約30km)を往復するくらいなら可能と判明。その辺りを盛り込んで行動を開始する事としました。それでも2〜3時間は暇なのですが。
ギリギリまでホテルでごろごろするように計画を練り直した結果、6時にホテル「ニュー赤城」を出発。
口コミにあった通り、チェックアウト時に稲荷寿司と巻き寿司が一つずつ入ったパックを頂きました。巻き寿司は私の好き嫌いが激しいため食べれない具もあったのですが、稲荷は素直に嬉しかったです。身にしみます。
雲も切れ目がある朝の高崎は流石に寒かったです。交差点の角のビルによると、気温は3℃だそうで。
昨日と同じ高崎駅へ。さすがに早朝はイルミネーションは点灯していないようです。
予定の電車は7時発。時間に余裕があったため、高崎から出てる私鉄の上信電鉄のホームを少しだけ覗きに。JR側を見ると上に新幹線も停まってますね。
上信電鉄の改札口。さっと見て引き返しました、なんとなく。
少しずつ夜が明けてきましたが、逆を見てみるとまだ月が輝いています。
がらんとしたコンコースを抜け、ホームへ。3枚目の横川行きが目的の追加列車です。
ホテルで頂いたお寿司。コンビニで昼飯調達時にお箸をもらいホームで食べました。
「今度の発車 のりば案内」なんてあまり見ない看板も。発車番線が固定されていないのでしょうか。
普通上野行き。7時前ですが、今から乗ると上野には何時頃に着くのでしょうね。
普通 高崎→横川
そしてこちらにやってきましたは国鉄時代に作られた湘南色の電車。ボックスシートなのは別にいいんですが、車両番号が手書きってどういうことですか。
通勤、通学客を乗せ、そこそこ混雑した状態で発車。まだ暗いためか、前はカーテンが閉められていて見れなかったので座って移動します。ボックスシートも結構好きなんですよ私。
安中駅。そこそこ降りていきましたね。
段々と山が近づいてきて、少しずつ坂が急になってきました。
ぐんと急な上りになり、それが終わったと思ったらポイントをゆっくりと渡る音。そうして終点、横川に到着しました。
横川駅の先は急な山になっていて、中線ともどもばっさり切られて車止めが置かれています。ではここで、この路線の正体について少しお話しましょう。
この高崎〜横川の路線名は「信越本線」と言い、その名の通り、信州と越後を結ぶ路線です。全通時は高崎からここ横川を越えて軽井沢、さらには長野、直江津、そして新潟まで続いていました。東京から長野方面、さらには新潟へ向かうルートとして使われていました。
しかし、この信越本線のうち特に横川〜軽井沢間の碓氷峠は、東(高崎)側の峠と麓の標高差が500m以上なのに対し、西(軽井沢・長野)側は標高差がほとんどないという片側のみの急勾配となっていて、長いトンネルでぶち抜けばなんとかなるというものではなく、必ず上らなければいけませんでした。
そのため過去にはこの区間にはアプト式(地上と車両で歯車を噛み合わせて上る)など特殊な設備が必要とされた他、最近になっても専用の補助機関車を連結する必要があるなど、ボトルネックとなっていました。
時は巡り1997年、高崎で分岐し長野へ向かう北陸新幹線(当時は長野新幹線と案内)が開業しました。1から新たに線路を敷く新幹線によって碓氷峠のボトルネックは解消され、補助機関車の連結なども必要なく東京から軽井沢、長野へ向かう事が可能となりました。長距離客は新幹線に移り、また県境であったため近距離客もほとんどいなかったため、特殊な設備が必要な碓氷峠の区間は廃止されてしまいました。
碓氷峠区間である横川〜軽井沢が廃止されたため、高崎側の終点はこの横川駅となり、駅から先の線路もばっさりと切られ、普通電車のみが走るローカル線になったというわけです。たまに臨時列車としてSLは走っていますけどね。
ちなみに、ばっさり切られた線路の向こう側にはかつての車両基地跡地を利用した「碓氷峠鉄道文化むら」などという鉄道博物館的施設があります。
数多くの車両が保存されている他、廃止になった区間の一部を利用して電気機関車の運転体験が出来ます。それも本格的なもので、講習や体験を繰り返す事によって、運転だけでなく連結などの作業も体験出来るようになります。回数が必要なので地元の人以外はちょっと難しいですが、一度は行ってみたいものです。
そんな峠の麓の駅前を、ほんの少しだけ散策。やはり鉄道的に重要な場所だったため、鉄道関連のものが所々に保存されてる他、有名な峠の釜飯なんてものも。
一部区間が廃止されずまだ軽井沢へ通じていた頃は連結作業などで長時間停車していたため、その間にここで駅弁を買ったのだとか。
再びホーム。とても静かです。ちなみに冬の長時間停車ということで、扉は手動扱いとなっています。
朝日が正面から差し込んでくるホーム。とても長いです。
車内。いやー、人いませんね。
朝日を浴びてかぼちゃ電車が輝いております。構内も広々としていますが、ほとんどは使われないのでしょう。
普通 横川→高崎
出発進行。お日様も昇ったため、帰りは前が見れるようで安心しました。
いくら補助が必要ないと言っても、この辺りもかなり急な勾配です。25‰の区間が連続しています。加速するのは少しの間だけで、後はずっとブレーキを調整するシューシューという音が聞こえてきます。
上の方は急勾配が連続していますが、少し下れば割と平坦になりそれなりに客もいます。沿線には工場も多く、複線電化で残しておく価値は充分にあるようです。
電柱の一つで見かけたもの。電車の架線は錘によって一定の力で引っ張られているのですが、その錘の後ろに色分けされた表示が見えます。勝手な想像ですが、雪などで弛んだり張りすぎた場合に一目で分かるようにするためとかですかね。いや調べてないので分かりませんが。
高崎駅が近づくと、こちらの線路だけ高架に上がります。丁度正面に新幹線Max(2階建て列車)が。
高架で全ての線路を跨ぎ、一番端に到着します。出発時も逆側の端から出ていましたし、恐らく東京方面へ直通していた頃の名残なのでしょう。立体交差にしておけば他の列車の邪魔にもなりませんし。
そんな感じで1時間と少しで再び戻ってきました高崎駅。ここから本来の予定通りですね。上越線ホームに向かうと、右も左も湘南電車です。ここ湘南地区じゃないのに。
普通 高崎→水上
上の写真3枚目の電車を見送り、2枚目の電車に乗って出発です。相変わらず車両番号が手書きなのが気になりますが。
信越本線は左に、上越線は右にカーブします。
今乗ってる115系の他に、JRに入ってから作られた107系という車両も走ってます。JRに入ってからと言っても20年以上前のJR発足直後に作られた上、主要機器は国鉄電車の再利用であるため国鉄車両と変わりませんけどね。一度乗ってみたかったです。
信号がたくさんあったり車両基地があったりと比較的大きな新前橋駅。
上野・新宿から前橋を結ぶ特急あかぎが走る両毛線が右に分かれ、上越線は左へ。
遠くに山が見えてきました。少しずつカーブも多くなってきたような気もします。
草津温泉などがある吾妻線との分岐駅である渋川駅。右に特急電車が停車していますが、ここから草津に向かうのか、はたまた回送されるのか、どっちなのでしょう。
吾妻線を左に分け、上越線は右カーブの後利根川を渡ります。5枚目奥の川が左右に分かれてるもののうち、左が吾妻川です(奥が北、手前が南)。
群馬県内の路線分岐も終了し、いよいよ山越え区間に入ります。利根川を見下ろしながら、複線が右へ左へ。
そしてトンネルの区間に入ったのか、カーテンが閉められてしまいました。車両や個体にもよりますが、JR東日本はトンネル内で前が見れない車両が多い気がします。というか国鉄車両が、ですかね。
仕方ないので横の窓から出来るだけ前を見るようにすることにしました。どんどん山岳地帯になってきます。
川、国道、鉄道という山手でよくある並び。利根川幅広いですねー……。
それなりの高度になってきたためか、駅名標に「海抜三三二.六三M」と書かれています。
島式ホームなのに一方は柵で使用不能になっている後閑駅。昔は特急の退避などで使われたのでしょうが、今はその特急が新幹線となったため使われなくなったのでしょう。
ちなみに、かつてこの後閑駅前にD51 498という蒸気機関車が保存されていました。
JR発足後にとある企画のためにもう一度走れるよう復元工事が行われ、その企画自体は中止になってしまいましたが丁度同時期別の企画でパリから海を渡り走ってきていたあのオリエント急行の牽引を一部区間だけではありますが担当しています。
オリエント急行の後はJR東日本のイベント列車として活用され、この後閑駅を含む上越線の高崎〜水上間も走行しています。
オリエント急行について語っている間についに雪が残る地域に入っていたようです。駅の待合室(駅舎?)には除雪機械のようなものも見えます。
おお、積もってる積もってる。そうですよね、これから雪国に行くんですもんね。
一際真っ白な山も現れました。何度も言っていますが普段雪が降りもしない、ましてや積もりなんて数年に一回程度の大阪民としてはもう大興奮です。
川ギリギリに立ってる建物というのは初めて見ましたね。千と千尋っぽい感じがします。
高崎から約1時間、水上駅に到着です。めっちゃ雪積もってますひゃっほう!
どこ見ても真っ白ですねー。
電車が停車していないホームの先の方へ行ってみると、屋根が切れる辺りからホーム上にも雪が積もっています。せっかくなので特に意味もなく触っておきました。
よく考えれば、昔はこのホームの長さ分の列車が通ってたんですよね。
ここで乗り換えとなる事から分かるとおり、この先は国境越えになるためここ水上駅で補助機関車の連結なども行っていたそうな。そりゃデカイ駅なわけですよ。
普通 水上→越後湯沢
今まで乗ってきた右のかぼちゃ電車と塗装は違いますが、車両は同じ115系です。トンネルが続く区間のためカーテンが閉められてる点まで同じです。別に泣いてなんかいません。
折り返し高崎方面行きとなるのであろうさっきまで乗っていた電車。車掌さんが防寒着を着ているのが分かります。
さすがに寒いですか、そうですか。私は寒さ平気なのでよく分かりませんが(当日の私の格好:半袖Tシャツにパーカー、特に分厚くもない長ズボン)。
前が見れないのは仕方のないことなので、引き続き横見ていきます。うん、完全に景色が雪国ですね。この区間は国境越えのため、列車本数が少なくなっています。
トンネルに入り、そのまま停車。地下鉄でもないのにトンネル内にホームがある、湯比曽駅です。
出発後、トンネルから出るような気配もなく、ぐんぐんスピードアップ。たぶん最高速度である100km/hくらいは出てたんじゃないですかね。
そして外に出ないまま再びトンネル内に停車。こちらの方が有名でしょう、日本一のモグラ駅と呼ばれている「土合駅」です。スキーにでも行くのでしょうか、ソリを持った家族連れが降りました。
ここ土合駅は新潟県と群馬県の国境にあり、国境を長大トンネルで通過しています。
現在は複線の上越線も元は単線でした。単線時代、つまりかなり古く作られた頃は出来るだけトンネルは短く抑えようと努力されており、ループ線などを使い高度を上げて比較的短いトンネルで通過していました。それでも9.7kmほどありますが。
後の時代になって上越線を複線化する際、当然この国境越えの区間も対象になりました。幹線であるのに単線が残っていてはボトルネック極まりないですし。その際単線時代のトンネルはそのまま上り(東京方面)用に転用され、下り(新潟方面)用のトンネルを新たに掘る事になりました。先に開業したトンネルは戦前でしたが、今度の下り方面トンネルは戦後ということもあり、ループ線などは使われず比較的長いトンネル(13.5km)となりました。古い方は清水トンネルで上り専用、新しい方は新清水トンネルとなり下り専用となりました。現在走ってるのはその下りの新清水トンネルです。
さて、清水トンネル単体の時代は高度を稼いでトンネルを短く抑えた事もあり、先の湯比曽駅、土合駅共にトンネル内などという奇抜なものではなく、普通に地上駅でした。しかし、新清水トンネルは高度を稼ぐ事をせず長いトンネルを採用したため、それらの駅に当たる場所もトンネル内となってしまったのです。そのため、そのままトンネル内にホームを作った結果、このような駅が誕生した、というわけです。特に土合駅は地上ホームよりも81mも深い場所にあり、田舎の無人駅のためエレベーターやエスカレーターなどはなく約500段の階段で接続しています。
そんなモグラ駅を出発し、さらに10分ほどひた走ると、ようやく外に出ました。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」。この長いトンネルとは清水トンネルの事を指しているので、ここに書かれている「雪国」とはまさにこの光景なのでしょう。
ただ、「国境の長いトンネル」は清水トンネルであって新清水トンネルではないので、東京方面専用になっている清水トンネルを抜けて雪国(新潟)を拝む事はもう出来ませんが。
トンネルを抜ける前とは段違いの雪の深さと対雪設備の充実さ。線路と線路の間に融雪用の水が流れています。
土合駅の次の駅、土樽駅。海抜599の看板もあります。当然の如く無人駅であり、屋根やホームには人の手が入った様子はありません。
雪は深いし、山もまだまだ高いです。
レンガの橋脚。時代を感じます。
場所によってはホテルと思われる高い建物が見える場所も。関東から程近いですし、スキー場もたくさんあるのでしょう。
線路は基本的にレールしか見えませんが、分岐部分はしっかりと除雪、融雪されています。雪が詰まって分機器が動かなくなったら大変ですからね。
……ん!? 本線でもないところに客車!? 横にはスキー場のゴンドラっぽいものもありますし、いったいどういうことですか……。
調べてみると、ここは湯沢中里スキー場と言い、越後中里駅に直結しています。問題の客車ですが、スハ43系という車両が中心のスキー場の休憩施設だそうです。
一面本当に真っ白。夏に来るとどんな景色なんでしょうか。一応夏に通ったことはあるんですが、夜行列車だったので分からないんですよね。
なにやら大きな駅に到着しましたね。新幹線っぽいものも見えるということは……。
はい、越後湯沢駅に到着です。新幹線停車駅な上に特急も停まるとあって設備は立派ですね。