約2年ぶりでしょうか、18きっぷ旅ではなくその他の旅でございます。
普通列車乗り放題の青春18きっぷを使用しない旅である「その他の旅」カテゴリ、切符に関しては正規運賃による普通の切符を使う場合が多かったですが、今回はある企画乗車券を使います。要するに、別の「お得な切符」です。
その名は「ひがし北海道フリーパス」。ピーチとバニラエアというLCC(格安航空会社)とのタイアップ切符で、それらの航空会社の新千歳空港(札幌)着の搭乗券を提示した人のみが購入できます。
効力は、その名の通り北海道の概ね東側の範囲の列車が乗り放題というもの。普通列車だけでなく、自由席限定ですが特急も乗り放題となります。期間は連続5日間で発売期間も限定されており、今回分は既に終了しています。過去にも何回か発売されているようなので、また発売される事もあるでしょう。たぶん。
そんな切符を使いまして、今回は飛行機で札幌入りした後、釧路や根室、網走といった道東地区を巡ります。
具体的には、まず飛行機で新千歳空港に入りまして、その日は寄り道しつつ夕張を訪れ、札幌に戻り一泊。2日目、特急を使い札幌から一気に釧路、さらにその先の根室まで行った後、釧路に引き返して一泊。3日目、釧路から網走へ北上し、網走から特急を乗り継いで旭川、札幌に戻り一泊。4日目、札幌周辺でうろうろした後、飛行機で大阪に戻る、という3泊4日の旅となっています。
お得な切符を使えるというだけでなく、JR北海道の経営状態的にあちこちの路線が廃線になりそうだったので無くなる前に乗りに行こう、という目的もあり、今回は北海道となりました。なにせ1日1往復しか列車が走らない区間とかありますからね。既に公共交通機関としての役割を果たせてないです。ヤバイです。
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目次
飛行機で北海道入りということで、今回は前の北斗星の時と同じく、なんばの近くの新今宮駅からスタートです。朝6時前です。
適当に写真を撮ったりしつつ、関西空港へ直通する「空港急行」を待ちます。そう言えばこの駅の発車標、いわゆる「パタパタ式」ですね。こんなところにまだ残っていたとは。
デザインがとても特徴的な関空特急「ラピート」が通過。回送という文字が見えましたし、出庫電車なのでしょう。ラピートの回送って見るの初めてかも知れません。
南海電鉄 空港急行 新今宮→関西空港
2016年製造の、南海の最新車両に乗車。最新だけあって、行先表示はLED、車内案内も液晶、自動放送も搭載されています。
南海電車の車庫。まだ朝なので、電車が数多く停まっています。
川を渡りまして、大阪市を出ます。
大阪市から出た後に日の出。春になって明るくなってきたとは言え、まだ日の出は遅いようです。いや、出発が早いだけ?
関西の大手私鉄の中でも比較的古いものが残ってる印象のある南海電車。このように、踏切を挟んでホームが千鳥配置されてる駅も残っています。
このような配置のため、上りホームと下りホームを結ぶ改札内通路などはなく、それぞれ別々に改札があります。道路と乗り場が近く、スロープだけで済むのはメリットと言えるでしょう。
一方で進む高架化工事。この辺りは和歌山方面への線路が高架側に切り換わってますね。
その高架からの景色。海側には堺の工業地帯の煙突が見えます。
片側のみ高架だと、こんな感じになったり。数年〜数十年後には上下線とも高架になっているでしょう。
少し走ると地上に戻ります。
すれ違いの普通列車。見た目で世代差がよく分かるだけかと思ったら、2枚目の車両、元泉北高速という南海が直通運転を行ってる会社の車両だったそうです。その会社で余剰となったものが南海に転属したとのこと。知らない間にそんな車両とすれ違っていたとは。
だんじりで有名(?)な岸和田を出たところでふと右を見ると、なんとお城が。岸和田城なんてあったんですね、初めて知りました。
再び高架に上がりまして、南海本線と空港線の分岐駅、泉佐野。両側をホームに挟まれたところに到着するので、両側の扉が開きます。
右のほうにうっすら観覧車を見たり、撮り損ねましたが遠くのJR線を特急はるかが通過していくのを見つつ、空港線に入ります。
高々架で南海本線を乗り越え、一旦高度を下げてJR関西空港線をくぐります。
くぐったら少し高度を上げ、JRとの共同使用駅であるりんくうタウン駅に到着です。
りんくうタウンを出るとJR線と合流して共同の複線となり、さらに高速道路が上に乗っかります。
それらを一まとめにした関空連絡橋で海を渡ります。海を渡る鉄道橋としては瀬戸大橋なんかもありますが、構造というか見た目が似てますね。
橋より見える飛行機たち。私が乗る飛行機はこの見える場所に並ぶ事はありませんが。
上の道路が左右に分かれると関西空港に上陸。JR仕様の信号や標識を見つつ左カーブ。
左側の南海ホームに到着です。朝から結構人いますね。
お隣のJRホームには特急はるかが停車中でした。
空港駅ということでほぼ全てが幅広タイプの自動改札機を抜け、第二ターミナルへ向かうために右へ。
連絡バス乗り場へ向かう途中。店のシャッター(?)が上がるところでした。近くのベンチには横になって寝てる人も。
無料連絡バス エアロプラザ(第一ターミナル近く)→第二ターミナル
毎度お馴染みの無料連絡バスに乗りまして、第二ターミナルへ向かいます。車両は微妙に仕様が違う気がするものの、基本は普通の路線バスで、降車ボタンも付いています。
一期島から二期島に渡りまして、凄い綺麗に並んでるPeachの機体に遭遇。
第二ターミナルに到着。この第二ターミナル、最近国際線用の新しい建屋が出来たらしく、従来の方は国内線専用になっています。国際線用は国内線に隣接した場所にあります。
相変わらず病的なほど白色で無骨なターミナルです。白すぎる以外は何の問題もないんですがね。朝の出発便が集中でもしているのか、人は多めです。
とりあえず入ったとこに並んでる機械にバーコードを読み込ませ、二つ三つ「はい」ボタンを押して搭乗手続き。これはバーコードを印刷して持ってきておけば非常にスムーズで、1分とかかりません。
手続き窓口などがある方の反対側はよく分からない店とそこそこの大きさのセブンイレブン、郵便ポストなんかもあります。
こちらは手荷物を預ける場所。到着が少々早かったため、私の乗る便はまだ手続き開始前で、少し時間を潰すハメになりました。数分後手続き開始の案内があったので列に並びます。
手前の機械でX線検査(?)を行い、その後奥のカウンターで搭乗券を渡して手続きをしてもらい、割とすぐに完了。実はこっちで荷物を預けるのって初めてなんですよね。出先で預けて、こっちで受け取った事はあるのですが。
その後保安検査場に進みます。飛行機に持ち込む手荷物と身に着けてるケータイやら音楽プレーヤーやらデジカメやらの金属機器類を全て出してX線検査に通し、自分自身は金属探知機を通過します。今回も引っかからずに済んだのですが、毎回ドキドキです。
この時、開封されてる飲み物については検査員に確認されます。今回はペットボトルのお茶一本、持ち主に確認の上、開封して匂いを嗅いでいました。鼻を近づけるのではなく試験管のように手で仰ぐ形でしたが。
とまあ非常にスムーズに終了しまして、待合室へ。この時点で出発の65分前です。もしかしなくても早すぎました。
こちら搭乗券になります。まあ見て分かる通り、でかいタイプのレシートです。運航側としては印刷してあるQRコードで全ての手続きを行うので、紙自体は何でもいいのでしょう。広告まで入ってますが。
搭乗案内は新石垣行きのみで、他は全て準備中となっています。まあこのまま1時間待ちですね。
なお、待ってる間に流れたアナウンスの中に「新千歳行きの飛行機は雲の影響で揺れが予想されており、ベルト着用サインが長時間消えないかもしれない」というものが混じっていました。まあ飛ばないとか引き返すかもとかじゃないので別にいいですけども。
1時間後、搭乗案内が開始されたので、搭乗口へひたすら歩きます。これ、完全にターミナルの端っこですね。端から端まで歩かされた感じですね。
端っこの99番ゲートまでやってきたところで、使用機の準備に時間がかかっていると言われ、まさかのこんな場所で足止めです。
Peach MM103便 関西国際空港→新千歳空港
5分10分ほど待たされた後、機内へ案内開始です。最後のQRコード読み取りの後、屋外へ出て駐機場を歩きます。
反対側にも並ぶ飛行機。
なんかラッピング機っぽいなーと思いながらタラップの階段を上がりまして機内へ。
ギッチギチの座席に若干苦労しつつ着席。相変わらず前後幅は観光バス並みで圧迫感が凄いです。席は安定の窓側。他の飛行機が見えます。
全員が乗り込み準備が完了すると、飛行機は最小限の動きで180度回転し、滑走路へ動き出します。移動中、機内では諸注意や非常時の案内、乗客のシートベルトの確認などが行われています。
下りてくる飛行機を見たり、道路の上を通ったり。
他の飛行機や貨物ターミナルなんかを見つつ滑走路へ移動します。離陸する時の滑走路は一期島、つまり鉄道で到着し連絡バスに乗る前の方の滑走路を使う事が多いので、二期島から移動する分余計に時間がかかったりします。この地上を走ってる感じ、あまり好きではないんですがね……。
端まで移動したので、くるっと向きを変えて一旦停止。南から北に向かって離陸ですね。
停止したままエンジン音が一気にうるさくなり、ブレーキを外して一気に加速。十数秒程度で、頭おかしい角度でふわっと浮き上がります。下に関空連絡橋を見つつ、早くも乗り物酔いです。気持ち悪い……。
窓からは大阪の南の方の工業地帯が見えます。
北海道へ向かうには右旋回が必要なはずなのですが、今のところ左旋回のみ。関西空港の周辺には大阪空港や神戸空港といった他の空港がある関係で空域のあれこれが非常にややこしい事になっているので、一周して高度を稼いでいるのかも知れません。
というわけで見えてきた景色は神戸。2枚目3枚目は神戸空港ですね。
神戸は山が海際まで迫ってる街なので、山の方も割と開発されていたりする、らしいのですが、ちょっと分かりにくい写真ですが、完全に山の向こう側まで開発されてるように見えます。地図で見ると山陽新幹線がトンネルで通過しているので、標高自体は高め、なのかな?
そしてこちらは明石海峡大橋。左が淡路島、右が神戸の須磨あたりですね。綺麗に海岸線が見えます。
ほんとに一周したようで、関西空港を見下ろしています。手前(下)が二期島でPeachのターミナルなどがあるところ。奥(上)が一期島で、鉄道駅や、大半の航空会社が利用している第一ターミナルがあります。Peachは上側の滑走路から離陸し、下側の滑走路に着陸する事が多いです。
さらに高度を上げつつ、陸の上空へ。なんだか街がミニチュアのようです。分かりにくいですが、3枚目の右上に前方後円墳が写っています。場所的に大仙古墳ですかね?
しばらくして、山が多くなってきました。なんかえらい開発されてる山が多いですが、どの辺りを飛行しているのでしょう。
またしばらくすると、海が見えてきました。なんかめっちゃ綺麗に並んでる船も見えます。右側に海? 琵琶湖というわけでもなさそうですし……。
と思ってたら見覚えのある島、というか中洲が見えました。これあれだ、ナガシマスパーランドっていう三重県のリゾート施設ですわ。という事は、見えてる海は伊勢湾ですね。名古屋の結構近くです。
しかし名古屋らしい景色は見えず、さらに険しい山、雪の積もってる山が出てきました。この辺りで機長が機内アナウンス。順調に高山辺りを航行してる、とのこと。どうやら現在岐阜県上空なようです。
山の間の平地がチラッと見えたりしますが、基本的に雪国です。
山岳地帯を抜け、海に出ました。日本海ですね。恐らく富山か新潟か、その辺りだと思いますが。
だんだん雲が多くなってきたので、あまり外の景色を見ても仕方ない状態になってきました。同時に、飛行機酔いで私の体力も大変な状態になってきました。
飛行機って、一応与圧してるとは言え、地上と全く同じではなく0.8気圧くらいになってる上に、酸素も微妙に薄くなってたりするので、そういう意味でも体力がゴッソリ削られる環境だったりするのです。おまけに地上の乗り物では考えられないほど傾くので一気に酔います。ちなみに私はジェットコースターに乗ってもGの問題で酔います。
しばらく海上、というか雲の上を飛んでいましたが、また山や海岸線が見えてきました。といっても割とすぐ海に戻りましたが。
再び陸から海に移りまして。なんだか高度も下がってるような気がしますし、たぶん北海道ですね。空力ブレーキも使っているようです。
翼の一部を持ち上げて空力ブレーキをかけます。すると翼の中の機械が結構丸見えに。大丈夫なのでしょうが、心配になります。
雲を突っ切ったりしつつ高度を下げていきます。
大量のソーラーパネルの後、管制塔っぽいのが見えてきました。フラップという翼を大きくして離着陸時の低速度でも安定させるものも出ています。
いよいよ空港敷地内に入りまして、着陸です。接地と同時に空力ブレーキ、逆噴射、車輪のブレーキを働かせるため、一気に速度が落ちます。このように一気に速度が変化するため、離着陸の瞬間が一番スピードを感じます。ていうか、踏ん張らないと前の席に激突するんじゃないか、というくらいです。
速度が落ちてきたあたりで滑走路から出て、滑走路と並行に引かれている誘導路という地上走行専用の道を走ります。この辺りで電波使用機器を使ってもいいという許可が出るので、乗客が一斉にケータイの電源を入れたり機内モードを解除したりします。
ターミナルから遠い側に着陸したので、またもや地上走行が長くなります。その間に様々な飛行機を目撃。新千歳空港は北海道の玄関口であるため、国内各地や世界から飛行機が飛んでくるほか、道内の各地との便も就航しており、つまりめっちゃ飛行機が多いのです。
国内線ターミナルの中でも、今回の着陸滑走終了地点から一番遠い1番スポットに到着。5分以上は地上走行してました。
色んなはたらくくるまを見つつ、完全に停止。新千歳空港に到着です。
ちなみにその「はたらくくるま」を一部紹介すると、預けた手荷物を入れておく客室の床下にある貨物室へ荷物を出し入れする車、出し入れした荷物の入ったコンテナを運ぶ何両も連なった車などなど。飛行機が空港にいる間、周辺にはたくさんの車が集まっています。
今回は荷物を預けているので、気持ち早めに飛行機から降ります。ちなみに飛行機の出入り口とターミナルを直接繋ぐこのボーディングブリッジ、これにも車輪が付いていて飛行機に合わせて動くので、一種のはたらくくるまと言えるかもしれません。
お隣にいた小型機。あんな小さくてもボーディングブリッジ使うんですね。さすがに出入り口に密着は出来ていないように見えますが。
荷物を受け取るターンテーブルにやってきました。どうやらまだ始まってもいないようで、ターンテーブルは動いていませんでした。
5分ほどした後、アナウンスと共にターンテーブルが動き始めました。早めに預けたせいか、私の荷物は割と後の方に出てきました。その場であれこれ確認しましたが、荷物自体がキンキンに冷えていて思わず笑いました。上空で冷えたものなのか、それとも今ここへ運んでくる途中で北海道の空気で冷えたのか。
荷物も受け取りましたので、出口へ向かいます。この出口は保安上の理由で逆戻りは出来ない仕様になっています。
外に出まして、到着ロビー。新千歳空港駅の発車標も設置されています。とりあえず、飛行機自体のあれこれと飛行機酔いで一気に体力が持っていかれたので、その辺のベンチで一休みです。ゲロゲロ……。
少し休んだ後、地下にあるJR北海道の新千歳空港駅にやってきました。みどりの窓口で搭乗券という名のレシートを提示し、目的の「ひがし北海道フリーパス」を購入します。
切符をゲットし、自動改札を通ってホームに。
快速「エアポート」 新千歳空港→札幌
新千歳空港に入ってくる列車のほとんどがこれ、快速エアポートです。車両自体は色々種類がありますが、中でもこの車両はJR北海道が初めて作った電車ですね。
他の地域の電車と同じ3扉ながら、出入り口は全てデッキにあり、客室とは扉で仕切られているという構造です。特急車のデッキは主に騒音などの遮断が目的ですが、こちらの目的はずばり防寒。二重ドアであると同時に客室と外気の接触を最小限に抑える事で保温性を高めているのです。ただ、デッキ付きかつクロスシートという設備は、中々豪華なものに感じます。
なおこれ以降にJR北海道が作った電車はロングシートが主になり、防寒もデッキを装備するのではなく、手動開閉のボタンとエアカーテンとなったため、これらの設備はこの車両だけの特徴です。
そんな電車なので、せっかくなので座って移動します。快速エアポートは混むものですし、そういう意味でも座っておいた方が無難です。
地下から地上に出て本線に合流。どうやら雪は線路内には無い程度のようですね。
白い恋人と大きく書かれた建物。実は白い恋人ってよく知らないんですけどね。
やがて函館本線と合流します。線路は別々なので複々線状態ですね。
札幌が近くなってくると、右手に苗穂工場や車庫が見えてきます。苗穂工場は車両の製造、改造、整備、解体まで行っている凄い工場です。
工事用車両なんかを見つつ高架へ。
札幌に到着です。前回来たのは確か2015年の秋とかだったはずなので、1年半ぶりですかね。