トワイライトエクスプレス・稚内

その1

今回の旅の目的地は北海道の稚内です。その他の旅に分類される通り、青春18きっぷは使用していません。

具体的には、鉄道に詳しくない方でも聞いたことがあるかもしれないほどの知名度を誇る豪華寝台特急「トワイライトエクスプレス」に乗って大阪から札幌に移動。そのまま特急と快速で稚内まで行ってしまおうという旅でございます。
先日、2015年3月で廃止される事が決定してしまった「トワイライトエクスプレス」。いつかは乗りたいと思っていただけに、何が何でも乗ってやると家族の前で言った所、親父が同じ気持ちだったらしく、親父との二人旅となりました。おかげでいつもより豪華です。主食がおにぎりじゃない程度には。
 
行程を書きますと、1日目、2日目が大阪→トワイライト→札幌→稚内という感じです。稚内到着は18時頃。3日目は稚内周辺を観光した後、夕方に出発し夜に札幌に戻ります。4日目は札幌を観光し、これまた夕方から夜にかけて飛行機で大阪に帰ります。
この行動からも分かる通り、今回の計画は基本的に親父任せです。私一人なら三日で帰ってくるでしょう。
 
今回の旅は初寝台特急、初特急での長時間移動、初北海道、初鉄道の果て、初飛行機と、初めてがいっぱいです。いや、飛行機乗った事はあるんですが、まだ小さい頃で何も覚えてないので、実質初めてなだけなんですが。
 
それでは今回も今回とてよろしくお願いします。
 
※写真はクリックで拡大できます。もしクリック出来ない場合は、前後の写真をクリックすると関連写真的な感じで拡大写真を見ることが出来ます。
 
 

大阪駅

とりあえず大阪駅までやってきました。今回は長旅のため、キャリーバッグ(コロコロ)で移動です。
とりあえず駅弁と飲み物を確保します。ついでに非常食のおにぎりも。
 

寝台特急「トワイライトエクスプレス」 大阪→札幌

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これがトワイライトエクスプレス……を牽引する電気機関車、EF81です。
トワイライトエクスプレスは電車ではなく寝台車、つまりは動力を持たない客車列車なので、動力車に引っ張ってもらう必要があるのです。

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 その動力車=機関車が、このEF81の113号機です。Eは電気、Fは動軸数が6、81は交直流対応で最高速度85km/h以上を表しています。詳しくはこちら

 

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トワイライトエクスプレス用に塗装されたこの機関車に引っ張ってもらって、とりあえず青森まで向かうとしましょう。とりあえずが遠い。

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これが、今回私が乗る車両です。Bコンパートとか書いてありますが、要はB寝台。つまりは一番階級が低い寝台車両という意味です。

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これがその寝台です。シーツ、布団、まくら、ハンガー付きの二段寝台で、二組が向かい合う構造となっています。つまり一部屋で四人が寝る事になります。グループで抑える事が出来れば問題ありませんが、知らない人同士となる事の方が当然多いわけで。
ちなみに寝台の広さはカプセルホテル並み、料金はビジネスホテル並みと言われています。
B寝台のお値段は6300円くらい。そこに特急料金と運賃を合わせて、トワイライトのチケットとなります。

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昔の車両なら「開放式B寝台」となったのですが、トワイライトとして運用するための改造のうちの一つに、ボックスに扉が付けられたというのがあります。そのため一応部屋として成り立つ事になります。本当に一応ですが。また、寝台のスペースを取るため、廊下は端に寄せられています。

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二段寝台の上段に上がるためのはしごです。折りたたみが可能となっています。

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見慣れているものですが、出発という事で駅名標をパシャリ。

この後しばらくして静かに動き出し、約22時間のトワイライトの旅が幕を開けました。11時50分、大阪駅出発です。
客車の特性上、電車に比べて加減速性能は劣り、最高速度もそんなに高くないため、大阪〜京都では同じ区間を走る新快速で29分かかるのに対して、トワイライトは34分と5分の差があります。停車駅では新快速の方が一つ多いのに、です。しかし、北海道まで22時間もかかる長旅をするような連中はそんなの気にしちゃいません。
新大阪を出ると、先ほど買った和風幕の内弁当を頂きます。この日私は寝坊してしまい、朝飯を食べずに乗り込んだので腹減って仕方なかったのです。
京都を発車し、列車は東海道本線から湖西線に入ります。

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湖西線の一部区間では、琵琶湖をかなり近くで見る事が出来ます。いや、関西圏で大回り乗車やってたら何回も見る光景なんですけどね。

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反対側は大きな山です。何山なのかは知りません。

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飯も食った、汗も引いた、落ち着いてきた。さあ車内探検に出発です。
まず私の乗った8号車から先頭側の9号車に向かいます。8号車、9号車ともにBコンパートの車両となっています。

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デッキには機器類の表示やらスイッチやらゴミ箱やらが。デッキまでも専用のカーペットが敷いてありますね。

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他の列車と違い、貫通幌が見えないようにカバーが付いた連結部を抜けると、左側には和式トイレと洋式トイレが一つずつ、右側には洗面台が二つ付いています。

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9号車札幌寄りにある業務用室。従業員用の寝台らしく、普通は二段寝台のところを三段寝台に改造してるとか。

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9号車は客が入れる中では先頭になりますが、当然その先には機関車もあるわけでして。
その機関車と9号車の間には電源車と言う、各車両の照明や空調に必要な電気を作る発電機を搭載した車両が連結されています。
客車にパンタグラフ付けて架線(電線)から取り入れればいいんじゃないかと思うかもしれませんが、架線の電気は商用のものとは当然違うので、変換機を積まなければいけません。そのような機器を搭載すると当然動作音がするわけで、寝る事を主目的としている寝台車にとっては死活問題です。その前に、北海道では架線がない場所も走行するため、どの道発電設備は必要なのです。
で、その電源車がこの先なのですが、客の侵入を防ぐためか、厳重な扉が取り付けられています。そもそも幌付きの通路があると思っていなかったのですがね。

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と、電源車についてしばらく考えていると列車が減速しました。外を見ると近江舞子の文字。最初の運転停車駅です。
運転停車とは、客扱いや荷扱いを行わない停車の事で、扉は開かないもののあらかじめ決められた停車という感じです(決められていない扉が開かない停車とは赤信号による停車等)。
目的は運転士など乗務員の交代、行き違い・通過待ち、時刻調整などがあります。

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今回は、主に大阪〜富山を走る特急サンダーバードの通過待ちによる運転停車です。なぜ特急同士なのに通過待ちをする必要があるのかというと、トワイライトエクスプレスを牽引する電気機関車EF81の最高速度が110km/hに対して、サンダーバードに使用される681系/683系の最高速度は130km/hと20km/hの差があるためです。
トワイライトエクスプレスの後ろを走るサンダーバードだけ速度を落として運転するわけにも行かないので、トワイライトエクスプレス側が道を譲るという事になっています。
というわけでカメラを置いて待機です。時間がかかるだけと思われるこの通過待ちですが、より多くの列車を見る事が出来るいいイベントでもあるのです。

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ただし130km/hで走る列車を狭いガラス窓から捉えるのはなかなか難しく、ついつい早めにシャッターを切ってしまうためいつも右側に空きスペースがあります。ホームに出る事が出来ればまだマシなんですがねぇ。

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そして後ろ側を捉えようとしても既に走り去った後。いやー特急速いですネー。

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というわけで探検再開、今度は8号車から1号車側に向かいます。トイレはどうやら全車両にあるようですね。

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幌が見えない通路を抜け、B個室と書かれた車両へ。開放式B寝台という言葉がある事から分かるように、開放してないB寝台、つまり個室も存在するのです。ここに並んでるのはツインの部屋ですね。

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さらに奥の車両へ。先ほどと変わらないように見えますが、途中で通路が端から真ん中になっています。端通路部分はツインで、中央通路部分はシングルツインという部屋になっています。シングルツインは基本は「シングル」なのですが、補助ベッドを使用しての「ツイン」での利用も可能となっています。少し狭いですけどね。

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4号車、サロンカーです。
この車両の番号は「オハ 25 552」で、電車とはまた違った法則があります。
オは重量で32.5t〜37.5tである事を表し、ハは普通車、2は集中電源方式、5は2軸ボギー台車という台車の種類を表しています。552は製造番号ですね。

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この車両はいわゆる展望車となっていて、大きな窓が付けられています。座席は全て日本海側を向いていて、案内用のテレビなどもあります。

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また、自動販売機やシャワールームなども設置されています。

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なぜかここだけ自動扉になっています。

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その先の3号車は食堂車です。この時間、食堂車はランチタイムとして営業中なので、営業中のレストランを通り抜ける勇気はなかったため探検はここで終了です。

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行きと帰りで違う景色を見るというのもよくある事でして、車番と何かの販売窓口っぽいシャッターを発見しました。
車番のスシはス→37.5〜42.5t、シ→食堂車という意味で、決して寿司ではありません。

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琵琶湖からも離れ、しばらくトンネルを通りながら走っていると、向こう側に線路がありそうな盛土が。

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やはり近江塩津駅でした。ここから列車は北陸本線に入ります。丁度同じタイミングで駅に入るのは北陸本線経由の新快速ですね。しかしトワイライトは通過です。
元々大阪と北陸方面を結ぶ路線は東海道本線で米原まで行き、そこから北陸本線に入るルートでしたが、1974年に京都と近江塩津を直結する形で短絡線となる湖西線が作られました。距離が短く、高速運転に対応した高規格の路線として作られたので、北陸方面に直通する特急・貨物列車はほぼ全てこの湖西線を通っています。
ここからは峠越えの難所であった部分を新深坂トンネルや北陸トンネル(在来線二位の長さ)などの開通で完成した新ルートで一気に駆け抜けます。その間の敦賀駅手前からさらっと福井県に入っていたりもします。

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約13.8kmの北陸トンネル(当然電波がないため通信不可能)を抜け、しばらく走ると鯖江駅に到着します。またも運転停車で、サンダーバードに抜かれるわけです。

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こんな汚い写真が限界です。爽健美茶おいしいです。

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トワイライトエクスプレスでは、琵琶湖や北陸トンネルなどの見どころの解説、停車駅付近の観光情報など、色々な放送が入ります。その放送の一つとして、北陸新幹線の白山総合車両所がもうすぐ見えるよとの放送が入り、待機。しばらくすると車両所が見えてきました。ただ、新型車両についてははっきりと確認する事は出来ず、事業用車両が見えたくらいでした。

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かなり大きな車両所を見ていると、高架橋が出現しました。建設中の北陸新幹線のものです。

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車両基地に接続する回送線が高架橋と合流していきました。まもなく金沢駅です。

走行中には検札の他、グッズ販売などがワゴンで回ってきたりしました。せっかくなので記念にクリアファイル、Nゲージ、スポーツタオル、旅のしおりなどを購入。父の万札が飛んでいきます。
中でも「トワイライトエクスプレスの旅 旅のしおり」(600円)という本は、車内の詳細な案内や沿線の解説など、旅をより楽しめる情報が詰まっていました。全92ページのうち39ページより後ろはメモ帳となっていたので若干裏切られた感はありますが、情報量は充分です。
特に、付属のしおりの裏に停車駅や通過駅の着発時刻が細かく書かれていたため、時刻から現在地を割り出すのに役立ちました。

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富山駅を過ぎてしばらくしたところで、日本海が近づいてきました。日の入りまではまだ時間はありますが、天気は曇り。夕焼けは見れるのでしょうか。

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そして私鉄のようなものも見えました。どうやら富山地方鉄道という鉄道の本線らしいです。

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トワイライトエクスプレスでは一番前に張りつけないため、大人しく寝台の下段に座っていました。ベッドのため横幅が広く、結構快適でした。
結構楽な姿勢で長時間横の窓から景色を眺めていたため、ガタンゴトンと揺られながらずっと座っているのも悪くない、そんな風に思えてきました。変わり行く風景と空を見てるのが楽しいのです。
また、トワイライトエクスプレスは「特急」なわけですが、普段青春18きっぷという普通列車限定切符で旅をしている以上、特急に長時間乗る事などなかったわけです。長時間揺られて気付いた事の一つにこんな事がありました。
「昼間でも平気で何十分も止まらない。やはり特急は特別急行なんだな」
と。普通列車だと、どう頑張っても十分〜二十分に一回は駅に停まります。しかし特急は三十分でも一時間でも、ずっと同じペースで走り続けるのです。そんな当たり前の事に、少し感動してしまいました。

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雲が地上まで降り注ぐような、そんな感じにも見えてしまう写真。実際には光だと思いますが、面白い光景です。

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ようやく道一本を挟んですぐ海という程度にまで近くなりました。太平洋ほどではないとはいえ、日本海も広大です。

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高架の道路が見えますが、これはこの辺りの地盤が安定しないため、地上ではなく高架で通してしまおうという考えで作られたものらしいです。

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そして突然真っ暗な写真。夜に飛んだわけではなく、トンネル内なだけです。
ここ頸城トンネルは過去地すべりに悩まされていた場所をパスするために作られたトンネル群の一つで、地上路線からトンネル新線への切り替えに伴い各駅も移設されました。そのうち筒石駅は適当な場所が見つからず、トンネル内に作られる事となったのです。そしてこのトンネル内の微妙な明かりのある写真の地点こそ、筒石駅です。

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列車は直江津駅に到着です。直江津駅では10分間停車するため、その間に飲料と非常食を追加調達します。10分という時間は待ってると長いのですが移動すると結構短いので、速め速めに行動です。
また、北陸本線の終端も直江津駅であり、ここからは信越本線に入ります。そしてJR西日本の管轄エリアも同時に終わり、ここからはJR東日本区間を走ります。
飲食料を確保し、帰り際に跨線橋から一枚。パンタグラフなどがないため、屋根上はスッキリしています。車端部にあるのは冷房ですかね。

 

 

その2→


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