2014年冬の青春18きっぷの旅、泊まり×2のため2回目にして最後の目的地は、広島県の呉です。
少し話はそれますが、現在巷では艦隊これくしょん〜艦これ〜というゲームが流行っており、不覚にも私もハマってしまっています。このゲームは、主に太平洋戦争時の日本海軍の軍艦を擬人化し、擬人化したキャラクターを集めて「艦隊」を編成、正体不明の敵を倒すというゲームです。一見ただのカードゲームのようなものなのですが、あちこちに歴史や実際の軍艦に基づいた要素が散りばめられており、それがきっかけで現実の海軍、軍艦に興味を持ってしまったのです。
そして今回の呉という場所、戦時から現在に至るまで海軍・海上自衛隊の基地があり、あの戦艦大和が作られた場所でもあります。大和の博物館や、実際の潜水艦に入れる場所、さらには現役の護衛艦の見学や戦時の鎮守府(司令施設のようなもの)の公開もしているそうで、これはもう行くしかない、いや絶対行きたいとなった結果が今回の旅です。
そういった事情のため、今回は行動パターンも今までと違うものがあります。
一日目は大阪を出発し、少しだけ中国山地(津山・新見)に寄り道しつつ夜に呉へ。二日目は丸一日呉で観光し、三日目についでのように宮島などに寄って帰ります。
このようにどちらかと言えば呉での観光重視の旅となっています。それでも鉄道部分も大分ありますが。
いつもの大阪駅。今回は広島方面なので京都線と神戸線のうち、神戸線ホームです。
時刻は7時前。ホームに到着すると快速電車がいましたがそこそこ混んでいたので見送ります。
その快速電車の先に入ってきた特急形の回送電車。なんとなく汚物処理装置なんてものが目に付いたので撮ってみました。左の管から洗浄された後の水が出てくるんですかね。
とりあえず撮っておく駅名標と普通電車。ちなみに諸事情でいつもの平日と違い、今日は土曜日です。
快速 大阪→兵庫
土曜日、つまり休日ダイヤなため新快速が走り出すのが平日より遅くなっているため、今回は快速電車です。まあもう一つ、新快速が停車しない駅に用があるというのが大きいですが。
ポジション確保出来たところで出発進行。
大阪駅を出るといつもと同じ淀川を渡ります。朝焼けですかね、綺麗ですね。
朝は貨物列車がより多く走ってる気がします。
地下から上がってきたJR東西線と一緒に神崎川を渡り、兵庫県に入ったら尼崎駅です。
ちなみに普段乗らない快速電車という事もあり、しばらくは張り付きます。
ガラスに朝日が反射し、六甲山の上の方から徐々に明るくなってきました。日の出ですね。
六甲道駅にて、新型ホームドアの運用試験を行っていました。ドアというよりも転落防止柵のようなもので、電車が到着するとロープが上に上がり通行が可能となるものです。
阪急電車が見えたらまもなく三ノ宮駅です。
とても小さいですが、架線とホーム上屋の間に見えた飛行機。飛行機も見かけるとちょくちょく撮ってる気がしますね。
神戸駅。東海道本線の終点にして山陽本線の始点、さらには県庁所在地の「神戸」の名の付いた駅ですが、たくさん客がいる光景は見たことがありません。特急も通過するような駅で、中心駅としても役割は二つ隣の三ノ宮駅に完全に奪われています。
その隣、今度はなんと「兵庫駅」。兵庫県の中心地かと思いきや、快速は停車するものの新快速は通過する程度の駅です。兵庫県の中心地というわけではなく、この辺りの地名がただ単に「兵庫」なのだとか。
ちなみに島式2面4線ではありますが、一部の快速電車を除いて外側2線は通過列車のみとなっているため、基本的にロープがかかっています。
快速を見送ったところで、一日目の寄り道の一つ、和田岬線に乗り換えます。朝日がまぶしい。
では和田岬線についてご説明しましょう。
和田岬線というのは通称で、正確には山陽本線の支線です。兵庫駅〜和田岬駅2.7kmだけという短い路線です。
山陽本線などを作るための資材を運ぶために作られた路線で、昔は運河や港まで線路が延びて、兵庫港から陸揚げされた資材などを運んでいました。
沿岸部ということで工場も多く、それらにも線路を延ばして貨物輸送を行い、同時に通勤客などの輸送も担うようになりました。
時は流れて貨物輸送がトラック中心になると鉄道輸送は行われなくなり、各工場まで延びていた専用線は廃止されました。現在は川崎重工業にのみ線路が繋がっています。
貨物輸送はほとんどなくなりましたが工場自体はそのままであり、引き続き通勤需要はあったため旅客営業は続けられ、現在に至っています。
この旅客営業というものがまた特殊なものでして。
まず需要はほとんどが通勤のみのためダイヤもそれに合わせており、平日の朝と夕方にしか電車が走っていません。日中はもちろん0、土曜日は多少本数が減る程度ですが、日曜日や祝日に至っては朝と夕方に1往復ずつだけというとても極端なものになっています。
そのためある意味とても行きにくい場所だったりします。今回時間的余裕が出たため、初めて乗ります。
改札付近に張ってあった「和田岬線のご利用方法」。
和田岬線は兵庫駅と和田岬駅のみのため利用客は和田岬〜兵庫間を移動する客のみという事になります。
そのため兵庫駅の乗り換え口に改札を設置し、和田岬方面へ向かう客に対してはここで切符を回収、和田岬から乗ってきた客に対してはここで切符を発売し、改札を通ってもらうという形になっています。2駅分の駅業務を1箇所で行えるため、とても合理的ですね。
ちなみに私は青春18きっぷのため、提示だけで通過です。
中間改札を通過し、少し離れた和田岬線のホームへ向かいます。右に見える高架はさっきまでいた山陽本線のものです。
和田岬線ホーム。いやあ、シンプルですねー。思っていたより設備は立派です。
山陽本線より少し低い場所にあります。
電車がやってきました。さすがに新車は投入されておらず、国鉄車両の中でも古めな103系という電車です。
ちなみに神戸市内の路線でありながら電化されたのは2001年で、それまでは気動車、さらに1990年まではディーゼル機関車牽引で旧型の客車が走っていました。ホームが片側にしかなく短い路線で通勤輸送のみという事情から、座席をほとんど撤去してさらに片側だけ扉を増設したりといった改造車両が使われていたそうです。
電車化後は訓練車として用いるためワイパーが3本付けられている以外派手な改造は行われていませんが、古いタイプである低運転台車両が他所で廃車になっていく中使われ続けるなど、古い車両を運用するという意味では伝統を受け継いでいます。
普通 兵庫→和田岬
出発進行。ちなみにワンマンではなく、ちゃんと車掌さんが乗っています。
ポイントを渡り、左にカーブします。右の線路は山陽本線に接続しています。
古い線路を見ながら地平に降りると、右に川崎重工業兵庫工場への線路が分岐しています。
なぜこの専用線だけ生き残っているかと言うと、兵庫工場が鉄道車両の製造工場だからです。完成した鉄道車両は工場裏の運河から船に積まれるか、この線路を通って全国へ運ばれていくのです。回送ではなく車両の貨物輸送であり、JR以外の私鉄や地下鉄の車両も機関車に引かれ走ります。
工場への線路が分岐した後、和田岬線は真っ直ぐ進みます。これでもかというほど真っ直ぐです。また、最近のガタンゴトンと言わないロングレールは使われていないらしく、心地いいジョイント音が聞こえます。
5分ほどで終点和田岬駅に到着。
実はこの日は年末でちゃんと動いてるか心配だったのですが、特に問題なく、客もしっかりいました。
線路はそのまま少し先で車止めが置かれています。昔はこの先まで専用線が延びていたらしいのですが。
そしてこれが和田岬駅の駅舎です。……駅舎? ただのバス停の間違いじゃ。
実際にはこれらの看板や張り紙があるだけです。先ほど言いました通り切符の回収も発売も兵庫駅で行っているため、和田岬駅には「駅業務」が必要なく、ホームとこのバス停だけになってしまっています。2009年までは駅舎があったらしいのですが、綺麗に解体されてしまったようで何もありませんでした。
道路から何の仕切りもなく緩いスロープでホームに接続しています。長さがそこそこあるためか、ホーム中間にも出口がいくつか。
このように駅舎なし改札もなしでホームと時刻表くらいという無人駅はそこそこあるのですが、まさかそれを政令指定都市で体験するとは思ってませんでした。
通勤需要に対応するためか、6両とそこそこの長さがある電車の端から端まで歩きます。方向幕も手間軽減仕様になってます。
普通 和田岬→兵庫
とくに用事もないので、折り返し電車で兵庫駅に戻ります。
ちなみに和田岬駅、最近地下鉄が開業し乗換駅となったらしいのですが、肝心の和田岬線の運行形態が特殊なため乗換案内は行われていないのだとか。地下鉄の方は日中も走っていますが、通勤客はまだまだ和田岬線を利用しているらしく、地下鉄は赤字で和田岬線は黒字なんだそうです。
運転士さんようの時刻表。1駅間のみを行ったり来たりするため空白が非常に多いです。
分岐などはないため信号もなく、車掌からの合図と前方の安全確認で発車します。車掌からの合図はブザーなのですが、この車両古いタイプなのかただ単に手入れされてないだけなのか、普段聞いてるものと音がかなり違い、壊れかけとも取れるような音でした。運用出来てるので問題ないようですが。
途中で兵庫運河を渡りますが、その橋もまた歴史あるものでして。
和田岬線が開業した1890年の10年後の1900年に完成した「和田旋回橋」という橋で、その名が表すとおり、運河を通る船のために日本初の旋回可動橋となりました。ただ、現在は船も通らないため完全に固定されてしまっていますが。
兵庫工場の線路と合流し、右カーブしながら高架へ。
ポイントを渡り、兵庫駅に到着。はい、満足しました。
和田岬線ホームからの直接の出口はなく、必ずこの改札を通るようになっています。少し古いタイプの券売機と、和田岬駅からの運賃表がありました。
さっきと同じように、無人なため設置されたインターホンのカメラに青春18きっぷを提示し、改札を通過。有人改札口も残されていますが、使われてないような気がするんですよね……。
ちなみに和田岬線が動いていない日中などは改札口ごと閉鎖されています。
呉へ向かうため、再び山陽本線のホームに。ホームからチラッと和田岬線の運転士さんと車掌さんが話をしてる光景が見えました。微笑ましいですね。
いやー長くて新しい電車が走ってますわー。
快速 兵庫→西明石
新快速は停車しないため、快速電車に乗ります。
和田岬線と共に発車。
一駅通過した後に神戸貨物ターミナル駅が見えてきました。和田岬線からの線路はここに繋がっているため、全国への輸送はここが発駅になります。
須磨駅前で何故か警戒信号。普段快速電車は乗りませんが、そんな赤信号出てくるような要素はなかったと思うんですが……。
そのまま須磨駅で赤信号で1分ほど止められた後青に変わり、1〜2分遅れで発車。無線も飛んでますし何かあったのでしょうが、聞き取れませんでした。
須磨の先は海のすぐ横を走る区間で、好きな場所でもあります。今回は快速なのでいつもの新快速とは違う線路を走っており、海に一番近い線路でした。
そして本州から淡路島へ至る明石海峡大橋がいつも通り見えてきます。
明石海峡大橋の根元、舞子駅。淡路島への高速バスの乗換放送も入ります。
山陽電車の複線と山陽本線の複々線が並んで明石へ向かいます。
ふと右を見ると時計を備えた大きな塔が。「明石市立天文科学館」と書いてありますね。場所から察するに、東経135度の場所にあるのでしょう。
鳥取と大阪を結ぶスーパーはくと。朝に鳥取を出た列車でしょうか。
明石駅を出てしばらくすると車庫が見えてきます。三枚目の二つの車両、一見違うような気もしますが、これらは同一車両です。最近リニューアル工事が開始され、施工前が右、施工後は左のようになります。偶然いい感じの対比写真が撮れてしまいました。
複々線の終点、西明石駅。複々線が終わり車庫もあるため、大阪からの普通電車はここで折り返し、代わりに快速電車が各駅に停車するようになります。
正面には新幹線のホームが見えます。新幹線は停車しますが、一部の特急は通過するというなんともアレな駅です。当然貨物列車も通過です。
新快速に乗り換えるため、新快速が発着するホームに移動し待機。
山陽本線はどの時間帯でも貨物列車が多いような気がするんですよね……。気のせいでしょうか。
新快速 西明石→姫路
快速は各駅に停車しますが、新快速はまだ「新快速」として姫路まで走ります。この先も立ちっぱなしの区間が続くため、一旦座っておきます。
20分ほどで姫路に到着。ほんとに早いですね。隣には回送電車も。
前回姫路に来た時はこっちの播但線に乗りましたが、今回は逆方向に進みます。
ホーム端より。実は予定より1本早いもので移動してきてしまったため少し暇です。
普通 姫路→播磨新宮
と思ってたら割とすぐに列車が来ました。
大阪から普通列車で呉へ向かうなら山陽本線に乗っていくのが最短ルートですが、山陽本線はもう全て乗りつくしてしまい、呉だと時間も余るため、遠回りすることにしました。その遠回りの始点がここ姫路駅。姫路より、中国山地へ入っていく姫新線に乗ります。
車内はトイレ付きの転換クロスシートと、JR西日本でよくある感じになってます。非電化路線のため気動車である「キハ」、キハ127形のトップナンバーに当たりました。だから何というわけでもありませんが、なんとなく嬉しいです。
姫路駅を通過する貨物列車。これで今日見たの何本目でしょうか。
運転席直後の蛍光灯ですが、ここだけが消灯しています。恐らく、トンネル内や夜間の照り返しを抑えるため、扉が開く時のみ点灯するようになっているのでしょう。
ホームからチラッと見えた山陽電車。山陽電車の姫路駅も近くにありますからね。さらにその奥には数十年前に廃止された姫路モノレールの残骸も見えます。
出発進行。少しだけ山陽本線と並走します。3枚目の時点でもう架線がないのが分かりますね。
山陽本線と一緒に川を渡った後、右カーブしながら地平へ。山陽新幹線をもう一度くぐって少しすると最初の駅です。非電化ながら、まだ都会かのような雰囲気があります。
早々に列車交換のようです。
気動車ですが、車体デザインや運転台共に新快速用の223系電車と似たデザインのこの車両。姫新線の高速化と同時に投入されたのだとか。
山を正目に捉えつつ川を渡ります。あちこちに山が見え始めますが、まだ住宅地のようです。
姫新線の車庫が見えてきました。元々は姫路駅構内にあったらしいのですが、姫路駅を高架化する際にこっちに移設したのだとか。
姫路駅から20分ほどで山中を走るようになりました。
僅か30〜40分ほどで終点の播磨新宮駅に到着。かなり細かく区切ってる気がしますね、そんなに輸送力に差があるのでしょうか。
普通 播磨新宮→佐用
と思ってたら次やってきた列車は1両編成、単行でした。この日は年末という事で帰省客もある程度いたためか、そこそこ混雑する事となりました。スーツケースに座る人なども見かけました。
そのせいで一時的にこんな細い場所になってしまいましたが、まあ前は見れるっちゃ見れるので我慢して、出発。
確かに田舎度が増したような気はしますが、それでもまだ元気な方です。
突然現れた三日月の最寄り駅は、そのまま三日月駅。江戸幕府の時代に三日月藩があったらしく、三日月という地名らしいです。ちなみに艦これにいる三日月というキャラを連想したのは内緒です。
山と山の間を進みます。平和です。
一方で片方のホームが使用停止になった駅もそこそこ。
切通しを進むと、右から線路が合流、並んで左にカーブします。
すると駅が見えてきました。終点、佐用駅です。播磨新宮から僅か30分、たったの5駅だけでした。